例会報告 2012年12月

   

【 概要 】


 日 時 :2012年12月09日(日)13時〜15時30分IMGP1068.JPG - 302,680BYTES
 会 場 :キゴ山天体観察センター
 出席者 :16名

 先日からの降雪でキゴ山天体観察センター周辺は雪が降り積もっていました。
 今年初めての積雪でところどころに落輪などの事故が散見されましたがそれでも例会には16名の参加がありました。
 スキー場がありますのでキゴ山までの道路は除雪と消雪が行き届いています。それでも山道になりますのでスピードを抑えて運転に気をつけての参加となりました。

【定例会内容】

☆皆既日食の本影錐とシャドーバンド:長

 11月14日オーストラリア北部・南太平洋上にて見られた皆既日食の映像がボチボチとウェッブ上に公開されてきていますが、数ある映像の中で月の影が地球に落ちている衛星からの画像、または、地上から見る本影錐の画像も多く見られます。私が注目しているのは、気球に搭載された動画カメラから地上と月からやって来る影を同時に撮影されたものを公開したものです。早朝の皆既日食でしたので、西方向から大きな楕円の影が地上を這ってくる様子がよく判ります。

また、東京理科大のメンバーによるシャドーバンドのクッキリした動画も公開されています。映像は接触時にハッキリ見えることが生々しく写っており、横縞として移動する様子が捉えられています。シャドーバンドの発生する原理は、幾つかの仮説はありますが、これと言った決め手は無く未だ不明です。

☆2012.12.6の探しているフレア:長

 12月6日に発生したフレアを太陽観測衛星が捉えられています。地上では日本からの観測が条件として良かったのですが、いまだにそのフレアの観測情報が日本から入ってきていません。かなり大きなプロミネンスの上昇だった為、その観測情報を皆で探しています。

☆NASAによる最新の高解像度世界の夜景:長

NIGHT_LIGHTS_JAPAN.JPG - 216,521BYTES  去年打ち上げられた地球観測衛星「Suomi NPP」が撮影した、「宇宙から見た世界の夜景」がNASAから公開されました。私としてはこの高解像度のデータは夜景の隙間(=観測地)を探すのに便利だと思います。

世界を見渡すと、やはりアフリカの砂漠地帯やウイグル自治区は真っ暗です。最近話題のニュージーランドも街明かりが無いことがよくわかります。

ちなみにウズベキスタンの天文台が小惑星観測で最近話題になっています。
それは、シーイングの良さによるもので、良いときは1秒角を切り、なんと0.6秒角での映像が得られるのです。

NASAへのリンク:  http://earthobservatory.nasa.gov/NaturalHazards/view.php?id=79765
グーグルマップ :  http://blue-marble.de/nightlights/2012

☆金大望遠鏡セル外し:長

金沢大学の教育実践支援センターにある西村製作所製の50cm反射望遠鏡のセルを、今年度講師の最終日に修理改良するために取り外しました。
星の会HPの掲示板にその様子が山川さんより掲載されています。
http://www.kanaboshi.sakura.ne.jp/imgbbs2/imgbbs.cgi?resp+20121206223058#resp

 


☆宇宙塵の採取方法の開発:星稜高校天文学部

本来、発表するメンバーが体調不良で寝込んだため別の班による代理発表になりました。
今週末に行われる大会に発表する内容を予行演習として行ったものです。
皆さまに頂いた質問・コメントを参考にしてブラッシュアップした形で本番に臨むとのことでした。

今回は主として宇宙塵の採取方法の開発についての報告です。
2011.9から2012.7まで晴天日飛来物、屋上堆積物、雨水収集の3つの方法での宇宙塵を採取し、形状の良いものを光学顕微鏡と走査型電子顕微鏡(SEM)によりEDX分析しました。
これまでの反省として研究を続けていくためには今より効率よく宇宙塵を収集する必要があります。
このため、以下の2つの装置を考案し実用に耐えるか実験検討した結果が今回の内容になります。
1)とぐろ型装置: 雨水をとぐろを巻いたチューブに流し流速を落とした状態でネオジム強力磁石により金属質(Fe,Ni)の宇宙塵を吸着」する方法。模擬的に金属微粒子をチューブに流し吸着率を調べたが採取率が悪く効率も悪いことが分かった。
2)堆積物沈殿装置: 雨水を四角錐からなるじょうろでペットボトルに誘導し質量の重い宇宙塵をペットボトル底に沈殿させ収集する方法。流速が速いと沈殿した宇宙塵が再び舞い上がり外へ失われるため四角錐の角度を変えたものを幾つか作り模擬実験を行った。

※宇宙塵について詳しい情報は下記をご覧下さい。
http://airex.tksc.jaxa.jp/dr/prc/japan/contents/IS0125334000/IS0125334.pdf#search=%27%E5%AE%87%E5%AE%99%E5%A1%B5%E6%8E%A1%E5%8F%96%E6%96%B9%E6%B3%95%27
http://w01.tp1.jp/~a460007240/IDP.html
http://poyoland.jugem.jp/?eid=582

質疑応答
・宇宙塵が大気との摩擦により完全な球体であると決め付けた発表になっていることに疑問があります。
また、発表が採取方法の考案であれば、そこに重点を置くべきと意見する人もいました。
全体的には、まとまっているようですが、色々なことを話そうとするあまり趣旨がぼやけた発表になっていると感じました。
また、私としては採取方法についての考案が古くから行われている方法を多少の理由付けしたもので、それほど目新しいもので無かったことが残念でした。


☆プラネタリウムの開発と運用:星稜高校天文学部(野村)

ダンボール板を使って組立て式のプラネタリウムドームを製作した記録です。
ダンボールには、2cm×4cmのフィンガー接合(要項には2cm×2cmになっている)を施し、しっかりと組立てできるようになっています。高さは手が届くことを考えて180cmにしています。
内側には接合部の目隠しを施してから全面にPPC用紙を貼ります。
欠点は組立てに大変時間と労力が必要なことです。
恒星球も透明アクリルボールの外側に黒色塗料を施し、釘で穴を開けました。
この釘は、計算で求めた値と一致する太さになるまで、ヤスリで削り上げたものです。
恒星球には、プラネタリウムの星をシャープにするために専用のEX電球を使用しました。
(※MLにて話題になった回路の物)
星座絵の作成も以前より工夫したのですが、投影像と星を一致させることが出来ません。
※質疑応答では、宇宙塵の時より多くの問題点について取り上げられました。

 


☆工大天文部活動報告:山本

11月30日に大浦小学校の観望会にて、「僕たちが見つけた星座」と題して天の赤道より北部の写真を貼り付けた用紙を配り、星に適当な線を結ばせ自由に星座を作ってもらう試みをしてみました。
この企画を準備するために37セット作った訳なのですが、これが大変なことでした。
146枚のA3出力を僅か6名にて切り張りするのです。
プリントも大変費用が掛かりますが、それを円形に切り抜くとなると凄い時間が必要となったのです。
また、写真のプレゼントを行ったんですが、明らかに間違っている子も写真欲しさにやってきて収拾がつかないほど大変でした。
(※ 私たちは白黒反転させた星図に慣れていますが子ども達はそのような星図を示されても星空として認識できないようです。このため普通に見える黒地に白抜きの写真を用意したのですが、大量のトナーを消費するため大学の印刷センターにある大判印刷では断られました。このためA3に出力してという話になるのですが大変でした。)

今後は12月23日のコスミックカレッジのお手伝いをします。また、年をあけて松任児童会や扇台公民館にて活動も予定しています。

☆火球:山川

11月28日に飛んだ火球を紹介します。これはちょうど工大天文部が観望会を行っていたときに飛んだもので、その情報がTwitterにあり、すぐさまデータを解析しました。その結果、1時間半後には前橋辺りから飛騨に飛行する経路が判明しました。松本付近の火球カメラによく映っています。おうし座流星群特有の爆発しながらゆっくり飛行するものでした。


☆宇宙教育指導者セミナー:加藤(金大)

星の会HPにも紹介されていますように宇宙教育指導者セミナーが野々市で開催されます。
ベーシック コース  12月22日(土) 9:30〜17:00
スキルアップ コース 12月23日(日) 9:30〜16:30
場所は野々市市情報交流館カメリアにて行われます。
これを取得すると、子供達あいてに指導する場合には、若干の費用(助成)を出せる仕組みになっています。
危機管理などのコースもあります。



☆新年会

 新年会は今のところ例会前日の土曜日1月12日に行う予定です。ご意見を伺っています。

★次回の例会

 1月 13日(日)13:00  総会&例会となります。
               場所はいしかわ子ども交流センターにて行う予定です。

 


これは、長さんが書かれた例会報告をベースに
ホームページ向けに山川が加工したものです
2012.12.13

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